大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 平成3年(特わ)710号 判決 1991年9月12日

本店の所在地

東京都渋谷区代々木一丁目二八番一六号

有限会社

協建築設計事務所

(右代表者代表取締役 土井正)

本籍

東京都新宿区新宿七丁目二六二番地

住居

川崎市多摩区西生田四丁目一番一八号 ベルレーヴ生田二〇六号

会社役員

土井正

昭和七年一月一八日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官白濱清貴出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社協建築設計事務所を罰金一六〇〇万円に、被告人土井正を懲役一〇月に処する。

被告人土井正に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社協建築設計事務所(以下、被告会社という)は、東京都渋谷区代々木一丁目二八番一六号に本店を置き、建築総合設計及び監理請負等を目的とする資本金三〇〇万円の有限会社であり、被告人土井正(以下、被告人という)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空外注費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六〇年一一月一日から同六一年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二六九七万七六五八円であった(別紙1修正損益計算書参照)のにかかわらず、同六一年九月二四日、東京都渋谷区宇田川町一番三号所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三六万八七五三円でこれに対する法人税額が八万四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成三年押第五五八号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一〇九〇万九四〇〇円と右申告税額との差額一〇八二万に九〇〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れ

第二  昭和六一年八月一日から同六二年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四二四四万三五八七円であった(別紙3修正損益計算書参照)のにかかわらず、同六二年九月二九日、前記渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一四六万三七八二円でこれに対する法人税額が三九万六〇〇〇円である旨の虚偽の法人額確定申告書(平成三年押第五五八号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一六八二万三二〇〇円と右申告税額との差額一六四二万七二〇〇円(別紙4脱税額計算書参照)を免れ

第三  昭和六二年八月一日から同六三年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九五二七万四一三二円であった(別紙5修正損益計算書参照)のにかかわらず、同六三年九月二九日、前記渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一七五〇万四二六四円でこれに対する法人税額が六二六万七八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成三年押第五五八号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額三八九三万一二〇〇円と右申告税額との差額三二六六万三四〇〇円(別紙6脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  岩渕稔、大竹徹、戸田功、加藤れい子の検察官に対する各供述調書

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  売上調査書

2  給料手当調査書

3  外注費調査書

4  接待交際費調査書

5  受取利息調査書

6  雑収入調査書

7  交際費等の損金不算入調査書

8  事業税認定損調査書

一  登記官作成の被告会社の商業登記簿謄本

一  検察事務官作成の捜査報告書

判示第一及び第二の各事実について

一  収税官吏作成の雑損失調査書

判示第二及び第三の各事実について

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  広告宣伝費調査書

2  雑費調査書

3  有価証券売買益調査書

判示第一の事実について

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  租税公課調査書

2  支払手数料調査書

一  押収してある被告会社の昭和六一年七月期の法人税確定申告書一袋(平成三年押第五五八号の1)

判示第二の事実について

一  収税官吏作成の雑給調査書

一  押収してある被告会社の昭和六二年七月期の法人税確定申告書一袋(平成三年押第五五八号の2)

判示第三の事実について

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  賞与手当調査書

2  修繕費調査書

3  受贈益調査書

一  押収してある被告会社の昭和六三年七月期の法人税確定申告書一袋(平成三年押第五五八号の3)

(法令の適用)

罰条

被告会社 判示第一ないし第三の各事実につき、法人税法一六四条一項、一五九条一、二項

被告人 判示第一ないし第三の各所為につき、法人税法一五九条一項

刑種の選択 被告人につき、いずれも懲役刑選択

併合罪の処理

被告会社 刑法四五条前段、四八条二項

被告人 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)

刑の執行猶予 被告人につき刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 被告会社 罰金二〇〇〇万円 被告人 懲役一〇月)

(裁判官 西田眞基)

別紙1 修正損益計算書

<省略>

別紙2 脱税額計算書

<省略>

別紙3 修正損益計算書

<省略>

別紙4 脱税額計算書

<省略>

別紙5 修正損益計算書

<省略>

別紙6 脱税額計算書

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例